監修者 小宮 淳(行政書士|ITコーディネーター)
この記事では、自動車登録手続きを行う行政書士法人の登録実務担当者が、
・行政書士の独占業務 |
についてお伝え出来ればと思います。
行政書士をはじめとする国家資格には、独占業務というものがあります。
これはその資格を持つ人のみが行える専門の業務のことです。
今回は、独占業務の基礎とともに、行政書士が携われる業務範囲について紹介します。
独占業務とは
専門の資格を持つ人が関与できる業務を指す「独占業務」は、国家資格や業務独占資格を保有する者に限られます。
たとえば、税理士は税務に関する相談・手続き・書類作成などが業務独占とされ、無資格者がこれに従事することは不法行為となり、罰せられる対象となります。
無資格者が独占業務に携わると、懲役2年以下または罰金100万円以下が科されることとなります。
業務独占資格には行政書士や税理士などの士業だけでなく、医師・薬剤師・美容師などさまざまな資格が含まれており、それらには名称独占のルールも適用されます。
名称独占は、資格を持たない者が有資格者の名前を使用することを禁じるものであり、名乗るだけでも罰則が課せられるため、慎重に注意が必要です。
報酬を得る場合に関わる有償業務独占資格、無償でも独占規定に触れる無償業務独占資格、業務外の特定の行動でも規定に関わる行為独占資格など、さまざまな種類が存在します。
行政書士は有償業務独占資格に該当し、無償の場合は誰でもその業務に携われますが、報酬を求めたり資格者を名乗ったりすることは許されません。
行政書士の独占業務
先ほど触れた独占業務の基礎を考えながら、行政書士が専門的に携わる業務について見ていきましょう。
行政書士の主な業務は、書類作成と手続きであり、これらの業務は大まかに官公署へ提出するもの、権利義務に関するもの、事実証明を行うものに分類されます。
まず、「官公署へ提出する書類作成と手続き」では、国や地方公共団体が運営する役所に対する許可申請が主な業務です。
営業許可から不動産、法人設立に関わる手続きなど、その種類は1万種類以上に及ぶほど多岐にわたります。
これにより、行政書士の業務が尽きないことが理解できます。
次に、「権利義務に関する書類作成と手続き」では、法的な権利や義務を定めた書類作成が行政書士の独占業務になります。
契約書や遺産分割協議書、内容証明書などがこれに該当します。
これらの書類は法的な効力を持ち、未然にトラブルを防ぐ重要な要素を含んでいます。
最後に「事実証明における書類作成と手続き」では、社会生活での交渉を証明するための書類作成が行政書士の業務になります。
案内図や議事録、決算書類などがこれに該当します。ただし、法律で制限される部分に関しては、行政書士は関与できません。
これらの業務のほかにも、行政書士は相談業務やコンサルティングも提供しており、広範な分野で専門知識を活かしています。
扱えない業務
先述のように、独占業務は国家資格や業務独占資格を有する者に限られる業務を指します。
資格を持たない者がこれらの業務に携わると処罰の対象になりますが、行政書士が他の士業の独占業務に関与することも避けなければなりません。
業務範囲が一部重複する場合は問題ありませんが、行政書士の専門外の業務には触れるべきではありません。
ここでは、行政書士が関与できない業務について具体的に見ていきます。
裁判に関連する手続き
裁判に関する業務は主に弁護士が担当します。
司法書士も一部の手続きに関与できますが、行政書士は基本的に書類作成にしか関与できません。
遺留分減殺請求手続きなどには一切関与できません。
登記の手続き
不動産の登記手続きは司法書士や土地家屋調査士の専門業務であり、法務局を介するため、行政書士は書類作成以外の業務には関与できません。
弁護士も登記手続きを行うことは稀で、主に司法書士や土地家屋調査士が担当します。
税務申告の手続き
税務申告は税理士の独占業務であり、税理士以外が代理・書類作成・相談に携わることはできません。
ただし、税理士資格を有する弁護士や公認会計士は税務申告に関する全ての業務に関与できます。
まとめ
行政書士は主に書類作成に焦点を当てた独占業務を行います。
これには、官公署へ提出される書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類が含まれます。
しかしながら、他の士業にも同様に独占業務が存在し、行政書士がこれらの業務に関与すると法的に問題が生じることになります。
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