監修者 小宮 淳（行政書士｜ITコーディネーター）
この記事では、自動車登録手続きを行う行政書士法人の登録実務担当者が、
| ・車庫証明の要件が2km以内である理由は何か |
という疑問を解決します。
車庫証明は、日本における自動車の登録手続きの一つです。
車両の所有者が車庫やガレージなど、車両を保管するための駐車場を所有または使用していることを証明しています。
車庫証明は、車両の登録時や車検の際に必要とされています。
この証明書を提出することで、所有者は自動車を公道で登録することができます。
これにより、所有者が車両を適切に保管していることが確認され、不正な登録や駐車場の確保が困難な状況での車両の登録を防止するために使用されています。
※軽自動車に関しては車庫証明が存在しておりませんのでご注意ください。
関連記事：車庫証明がすぐもらえるは嘘！最短での取得方法はこれに限る【軽は即日】
そして、その車庫証明の取得条件には以下のようなものがあります。
それが、車の保管場所が、使用の本拠地から直線距離で2km以内であることという条件。
さて、一体なぜこのような要件が存在するのでしょうか。
そして、なぜ2km以内でなければならないのでしょうか。
本記事では、上記の謎に迫っていければと思います。
※特例措置として全長5.7m超または全幅1.9m超の「キャンピングカー」、「キャンピングトレーラー」、「ボートトレーラー」といった特殊用途自動車は2km以上離れていても車庫証明を取得する事が可能です。
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車庫証明の目的は車庫飛ばしの対策でもある
車庫飛ばしとは、車を購入する際に警察署に届け出る「車庫証明」の申請内容とは異なった場所で、車を保管する行為です。
上記に記載したとおり、車の保管は、その車の所有者の自宅など「使用の本拠地」から、直線距離で2km以内の場所に車庫を設けなければなりません。
その場所は「車庫証明」という申請で、地域の警察署に届け出る必要があります。
しかし、自宅などから遠く離れた場所に、車庫を届け出をすることがあり、この状態を車庫飛ばしと呼んでいるのです。
車庫飛ばしの意図
では、なぜ車庫飛ばしが起こるのでしょうか。
主な理由は以下のとおりです。
| ・駐車場代を抑える関係
・ディーゼル規制を逃れる関係 ・他地域のナンバープレートを使用したい関係 |
1つずつ詳細を確認してみましょう。
駐車場代を抑える関係
自宅などが都心部や駅に近ければ、駐車場代は高額なのが一般的です。
駐車場代を安くするために、自宅から2km以上離れた場所に駐車場を借りて、車庫証明を取得するケースがあるのです。
ディーゼル規制を逃れる関係
東京都や神奈川県など、一部地域では「ディーゼル車規制条例」が制定されています。
この条例は、環境規制に適合しないディーゼル車の使用を、対象地域内において禁止するものです。
この規制を回避するために、車庫飛ばしが行われるケースがあります。
他地域のナンバープレートを使用したい関係
車の所有者の住所とは違う地域のナンバープレートを使用したい場合に、車庫飛ばしが行われることがあります。
2006年から導入された「ご当地ナンバープレート」は、地域おこしや観光客集めを目的としており、他の地域からの取得を希望する人もいます。
過去の車庫証明の要件は500m以内だった！？
さて、車庫証明が2km以内という条件がある理由についてはある程度把握していただけたかと思います。
それでも2kmは短いのでは？という方も少なくないと思いますが、過去の車庫証明の要件は500m以内だったのです。
しかし、この500m以内という要件には大きな問題がありました。
それは、販売店が車を売りたくても売れなかったという事です。
勿論、これは車を購入したいと考える方がいても、買えないという事と同義です。
そこで、自動車販売会社等から距離の要件の緩和を求める声が続出し、直線距離2km以内に緩和することになったのです。
勿論、この500m以内というのは決して国が意地悪な行為をしている訳ではありません。
先に記載した通り、極限まで車庫飛ばしを規制する狙いがあっての要件だったと考えられています。
まとめ
| ・車の保管場所は、使用の本拠地から直線距離で2km以内でなければならない
・2km以内という要件は、車庫飛ばしという違反行為を規制する目的でもある ・当時は2km以内では無く500m以内だったが、販売店の要望により緩和された |
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