監修者 小宮 淳(行政書士|ITコーディネーター)
この記事では、自動車登録手続きを行う行政書士法人の登録実務担当者が、
・憲法とは何か
・法の支配とは ・日本国憲法の基本原理 |
について詳しく解説させていただければと思います。
憲法とは
憲法は多義的に定義されていますが、最も重要なその定義は、国家権力を制限して国民の権利・自由を守るために定められた国家の基礎法です。
これを、立憲的意味の憲法又は近代的意味の憲法と言います。
この立憲的意味の憲法には、以下の特徴があります。
①自由の基礎法:国民の自由を保障すること
②制限規範性:国家権力を制限すること ③最高法規性:国法秩序において最も強い効力を持つ) |
法の支配
法の支配とは、専断的(物事を自分だけの考えで勝手に処理すること)な国家権力の支配(人の支配)を排斥し、権力を法(憲法)で拘束する事によって、国民の権利・自由を擁護する事を目的とする原理です。
この原理はイギリスやアメリカの法体系の根幹として発展していきました。
日本国憲法における法の支配のあらわれ
法の支配の内容 | 日本国憲法の規定 |
最高法規 | 第10章 最高法規 |
個人の人権 | 第3章 国民の権利及び義務 |
適正手続 | 31条 法定手続の補償 |
裁判所の役割の尊重 |
76条3項 司法権の独立
81条 違憲立法審査権 76条2項 特別裁判所の禁止 |
日本国憲法の基本原理
国民主権
主権という言葉には、一般的に3つの意義があります。
①国家権力そのもの(統治権)
②国家権力の最高独立性 ③国政の最高の決定権 |
国家権力そのもの(統治権)
国家が有する支配権を包括的に示す場合をいいます。
立法権、行政権、司法権を総称する統治権とほぼ同意義です。
国家権力そのものの例としては以下のような場合があります。
「日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾島の決定する諸小島に局限せらるべし。」
※ポツダム宣言8項より
国家権力の最高独立性
国家権力が国内的には最高であり、対外的には独立であることを示す場合もいいます。
国家権力の最高独立性の例としては、「自国の主催を維持し」(前文)のように使われる場合です。
国政の最高の決定権
国の政治の在り方を最終的に決定する力、又は権威を示す場合をいいます。
例としては、「ここに主権が国民に存することを宣言し」(前文)のように使われる場合です。
国民主権における主権は、国政の最高決定権という意味です。
補足
日本国憲法は上記のように国民主権を採用しています。
これに対して、大日本帝国憲法(通称明治憲法)では、天皇主権を取っていました。
つまり、この時代は日本の国政の最高決定権は天皇という個人にありました。
基本的人権の尊重
基本的人権とは、人が人であるというだけで当然に認められる基本的な権利をいいます。
例えば日本国憲法でも、人は心の中で何を考えようと国家から規制を受けず自由であるという権利(思想及び良心の自由)等が明文上認められています。
そもそも、日本国憲法は「個人の尊重」の価値観を基本としています。
個人の尊重
個人の尊重とは、国民一人ひとりが個人として人間らしく扱われるということです。
この事は、国民一人ひとりの幸せのために国家が存在するのであって、国家のために個人が存在するのではないという事を意味します。
そして、人が個人として尊重されるために必要な権利や自由というものが基本的人権又は単に人権といわれるものです。
日本国憲法は、この基本的人権が「侵すことのできない永久の権利」としてすべての国民に保障されるとしています。
平和主義
日本国憲法は、第二次世界大戦の経験を踏まえて、戦争についての深い反省に基づいて平和主義を基本原理として採用し、戦争と戦力の放棄を宣言しました。
日本国憲法は9条1項で、侵略戦争を放棄するとともに、2項で正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求するために、自衛戦争も含めた一切の戦力の不保持を宣言したこと、そして国の交戦権を否認したことにおいて、徹底した戦争否定の態度を打ち出しています。
まとめ
・憲法とは国家権力を制限して国民の権利・自由を守るために定められた国家の基礎法
・法の支配とは、専断的な国家権力の支配を排斥し、権力を法で拘束する事によって、国民の権利・自由を擁護する事を目的とする原理 ・日本国憲法の基本原理は国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つ |
※日本国憲法に関してはこちらをご確認ください。
その他の手続きや解説に関してはこちらからご確認ください!
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