監修者 小宮 淳(行政書士|ITコーディネーター)
この記事では、自動車登録手続きを行う行政書士法人の登録実務担当者が、
・倉庫業とはなにか
・倉庫業を始める際の許可要件はなにか ・倉庫業を始める際の申請方法はなにか |
について解説させていただきます。
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倉庫業ってどんな業種?
まずは、倉庫業とは何かという所から確認していく事にしましょう。
倉庫業とは、倉庫業法の言葉を借りると、寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業のことをいいます。
もう少し柔らかい表現にするとすれば、預かった物を損壊、紛失しないようにして自分達が預かった時点での物品の状態をキープして保管を行い、それに対して対価を受け取る営業といっても良いでしょう。
倉庫業登録は必須!
倉庫業を営む倉庫のことを、「営業倉庫」と呼びます。
自分にはどういった価値があるか分からずとも、お客様にとっては倉庫に保管を御願いする程大切な物品です。
当然、そのような役割を持つためには倉庫業登録は必須なのです。
具体的には、倉庫業登録は国土交通大臣の登録を受ける必要があります。
これらの事から、倉庫業とは、とても公共性の高い産業であるという事も分かります。
倉庫業登録を行わないで、倉庫業を営むような事があれば無登録営業として扱われ、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金(併科の場合も有)」に処される事となりますので、倉庫業を始める事を考えている場合は必ず倉庫業登録を行いましょう。
倉庫業に該当しない場合もある?
自身が行おうと考えている事業が、倉庫業に該当しているかどうか判断に迷う場合もあるかと思います。
主な倉庫業にあたらない事業としては、以下のものが存在しております。
・港湾運送事業において一時保管用に供される上屋
・貨物自動車運送事業の運送契約において一時保管用に供される保管庫や配送センター ・ロッカー等外出時の携帯品の一時預かり(コインロッカーなど) ・銀行の貸金庫等の保護預かり ・特定の物品を製造・加工した後で他人に譲渡する営業、譲渡後も引き続きその物品を保管する場合も含む ・クリーニング業など、特定の物品の役務(洗濯や修理等)の営業を行う場合に付随してその物品を保管する行為(タイヤなど) ・他人の使用する自転車、自動車その他これらに準ずる物品の保管業(駐車場や駐輪場など) |
上記を見ても、自身が行う事業が倉庫業に該当していないかどうか判断できない場合は、国土交通省に問い合わせを行いましょう。
倉庫業の許可が必要な業務
基本的に上記の該当しない業務以外の業務は、倉庫業の許可が必要と考えて良いです。
倉庫業として定義される倉庫の分類は9種類存在していますので、下の表で確認をしましょう。
1類倉庫 | 危険物及び高圧ガス(第7類物品)と10度以下保管の物品(第8類物品)を除く全ての物品が保管可能 |
2類倉庫 | 麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿及び石綿製品などが保管可能 |
3類倉庫 | 板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械その他素材及び用途がこれらに類する物品であつて湿気又は気温の変化により変質し難いものなどが保管可能 |
野積倉庫 | 地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石、自動車及び車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る。)、大型機械その他の容大品(被覆した場合に限る。)、木材(合板及び化粧材を除く。)、ドラムかんに入れた物品、空コンテナ・空びん類、れんが・かわら類、がい子・がい管類、土管類、くづ鉄・くづガラス・古タイヤ類等野積で保管することが可能な物品などが保管可能 |
水面倉庫 | 原木等水面において保管することが可能な物品が保管可能 |
貯蔵層倉庫 | 糖蜜(第6類物品)、小麦粉(第1、第2類物品でバラのもの)など容器に入れてない粉状又は液状の物品が保管可能 |
危険物(工作物)倉庫 | アルコール(第7類物品)など消防法第2条の危険物及び高圧ガス保安法第2条の高圧ガスが保管可能 |
危険品(土地)倉庫 | 潤滑油(第7類物品)などが保管可能 |
冷蔵倉庫 | 冷凍食品(第8類物品)など農畜水産物の生鮮品及び凍結品等の加工品その他の摂氏10度以下の温度で保管することが適当な物品が保管可能 |
倉庫業登録のための基準
ここからは倉庫業の登録について必要な内容を紹介させていただきます。
倉庫業に関しては、申請書類を指定の場所に提出するだけでは、登録は出来ません。
まずは、一定の基準を満たしている必要があるのです。
申請基準
基準の内容は、以下のとおりです。
・申請者が欠格事由に該当していないこと
・倉庫の施設又は設備が一定の施設設備基準を満たしていること ・倉庫管理主任者が確実に選任できると認められること |
欠格事由
株式会社などでも適応されている内容です。
申請者が以下のいずれかに該当している場合、申請を行う事は出来ません。
・申請者が1年以上の懲役又は禁錮の刑を受けていたり、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
・申請者が倉庫業法違反によって取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者 |
施設設備基準
申請で一番手間取るポイントとも言われています。
基本的に、最も登録件数が多いのは上記の表にも記載した1類倉庫なのですが、以下のような基準が存在します。
使用権限:倉庫業に使用する倉庫及びその敷地の使用権限を有すること
関係法令適合性:建築基準法その他の法令の規定に適合していること 土地定着性:倉庫が土地に定着し、かつ、屋根及び周囲に壁を有する工作物であること 外壁の強度:軸組み、外壁又は荷ずりの強度が国土交通大臣の定める基準(2500N/㎡以上)に適合していること 床の強度:床の強度が国土交通大臣の定める基準(3900N/㎡以上)に適合していること 防水性能:構造及び設備が倉庫内への水の浸透を防止するに足るものとして国土交通大臣の定める基準に適合していること 防湿性能:土地からの水分の浸透及び床面の結露を防ぐため、床に国土交通大臣の定める防湿措置が講じられていること 遮熱性能:国土交通大臣が定める遮熱措置(平均熱還流率4.65W/㎡・K以下)が講じられていること 耐火性能:倉庫の設けられている建物が耐火性能又は防火性能を有するものとして国土交通大臣の定める基準に適合していること 災害防止措置:危険品を取扱う施設その他国土交通大臣の定める施設に近接する倉庫にあっては国土交通大臣の定める災害防止上有効な構造又は設備を有すること 防火区画:倉庫内に事務所、住宅、売店、食堂など火気を使用する施設又は危険物等を取扱う施設が設けられている場合にはっては、国土交通大臣の定めるところにより区画されていること 消火設備:消火器などの消火器具が設けられていること 防犯装置:防犯上有効な構造及び設備を有していること 防鼠措置:鼠害の防止上有効な設備を有していること |
倉庫管理主任者
営業倉庫では、原則、倉庫ごとに1人の倉庫管理主任者を設置する必要があります。
これには例外規定があり、2つ以上の倉庫に1人の倉庫管理主任者を置くことで足りる場合もあります。
倉庫業の申請方法
上記の準備を全て終えたら、いよいよ申請を行う事になります。
注意点として、申請する際の要件をクリア出来ている事を前提に申請を進めていく必要がありますので注意してください。
これらを無視してしまうと、所有した建物が全く倉庫の要件に該当していないとなった際、相当な不利益を被る事があります。
これは、運輸局は要件に合致しているという書類を確認して現地調査をする事が無いのが理由です。
今回は申請件数が多い1類倉庫に必要な申請書類を紹介させていただければと思います。
・倉庫業登録申請書 ・倉庫明細書 ・施設設備基準別添付書類チェックリスト ・建築確認申請書・建築確認済証・完了検査済証 ・土地建物の登記簿謄本(賃貸の場合は賃貸借契約書) ・警備状況に関する書類 ・構造計算書 ・平均熱貫流立計算書 ・照明装置に関する書類 ・倉庫付近の見取図 ・倉庫の配置図 ・平面図 ・立面図 ・断面図 ・矩計図 ・建具表等 ・倉庫管理主任者関係書類 ・法人登記関係等書類・戸籍抄本等 ・宣誓書 ・倉庫寄託約款 |
書類を全て用意出来たら、地方運輸局もしくは運輸支局へ提出しましょう。
書類を提出すると運輸局側での審査が行われます。
この時点で必要に応じて補正の指示などが入りますので、そこへの対応次第で審査期間が伸びることがあります。
タイミングにもよりますが、平均して2~3ヶ月前後といわれています。
審査が完了すると、登録通知書を受け取る事となりますので、登録免許税の9万円を用意しましょう。
審査終了後も、倉庫料金の届出などが必要になります。
まとめ
・倉庫業には登録が必要
・倉庫業に該当しない可能性もあるので事前に調査を行う ・倉庫業に該当する場合、倉庫の要件に合致しているか事前に入念な調査を行う ・届出後も必要な書類がある |
その他の手続きや解説に関してはこちらからご確認ください!
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