令和5年1月からスタートした車検証の電子化。それに伴い、「記録等事務委託制度」も開始されました。
兼ねてから国土交通省の肝いりプロジェクトとして自動車手続きのDX化が推進されており、その一環として車検証電子化であったり、OSS申請などが最たる例として挙げられます。
そんな新制度が走り始めたものの、「いざ、説明してくれ」と言われると自信がない・・と感じている登録実務者や行政書士も数多くいるのではないでしょうか。
本記事では、電子車検証に伴い制度化された「記録等事務委託制度と記録事務代行サービス」についての解説記事となります。
3分ほどですべてを読み終え、理解できる内容となっていますので是非とも最後までご覧ください。
|本制度の対象者
指定整備事業者(ディーラー|整備工場など) | 継続検査 |
OSS申請代理人(自販連|日整連|全軽自協) | 継続検査 |
OSS申請代理人(行政書士|行政書士法人) | 継続検査、変更登録、移転登録、記載事項変更 |
現在は普通車のみとなっていますが、軽自動車については「令和6年1月」より導入予定とされています。
また、記事後半では、記録等事務委託制度を活用するための代行者となるための手続き方法も解説しています。
名称解説・メリット|記録等事務委託制度と記録事務代行サービス
記録等事務委託制度 | 自動車検査証(車検証)の更新手続きにおける書き換え業務を、自動車整備事業者や行政書士などに委託する制度 |
記録事務代行サービス | これらの制度を活用した業務 |
まずは、この名称の違いをしっかりと抑えておきましょう。
ポイントは、「記録等事務委託制度という制度を活用した業務が記録事務代行サービス」となります。
この制度を利用することで、運輸支局窓口などに出向く必要がなくなり、車検にかかる日数なども短縮できるようになります。
参考リンク:国土交通省「記録等事務委託制度について」 |
活用するメリット
①運輸支局などの窓口に行かなくてよい
②24時間、車検証などの書き換え事務がおこなえる ③専用アプリで手続きが簡略化できる |
このようなメリットにより、車検の際に整備事業者が運輸支局などに直接出向く必要がなくなることで、検査日数や労力が削減できることで、コスト削減につながります。
また、最短即日で車検証の書き換えが可能になります。
記録等事務委託制度|対象となる手続き、準備すべきもの
記録等事務委託制度とは、今まで運輸支局などが行っていた車検証の書き換えなどを、一定の要件を備えた整備事業者や行政書士などに委託する制度のことです。
車検証の手続きが簡略化されることで、「行政機関・整備事業者・自動車ユーザー」それぞれにメリットがあります。
記録等事務委託制度の対象手続き
記録等事務委託制度の対象手続きは、
特定記録等事務 | 特定変更記録事務 | |
対象手続き | 継続検査 | 変更登録・移転登録 |
※券面記載に変更がない場合のみ | ||
申請方式 | 電子申請(窓口申請は対象外) |
となります。
継続検査についての例外はありませんが、変更登録・移転登録の場合には、「券面記載事項」に変更がない場合のみ対象となります。
例えば、車の所有者が運輸支局管轄区域内で引っ越ししたような場合です。
また、申請方法についても制限があり、「電子申請(OSS申請)のみが対象」となり、窓口申請によって登録された場合は対象外となります。
業務に必要なハード機器
パソコン | Windows 10
Windows 11 ブラウザ|Microsoft Edge |
|
ICタグリーダーライター | NFC規格対応の非接触型
ISO/IEC 14443 TypeAISO/IEC 7816対応が推奨 |
|
プリンター | LBP又はインクジェットプリンター
用紙サイズ|A6ハガキサイズ、A4普通紙が印刷可能なもの |
|
本人確認ができるもの | マイナンバーカード又はGビズID(プライムorメンバー) |
これらの機器をお持ちでない方は、買いそろえる必要がございます。
ちなみに当所(井口事務所)で実際に使用している機器(ICタグリーダーライター)はマクセル社のスタンド付きの機種(M-1850S-NS)となります。
ここまでが、「記録等事務委託制度」と「記録事務代行サービス」についてのご説明となります。
次の項目では、実際に記録事務代行サービスを実務で行う為の申請手続きの方法(代行者になる方法)をご教授致します。
記録等事務代行者になる方法(※審査を通過する必要あり)
申請に必要なもの
指定整備事業者(ディーラー|整備工場など) | 指定整備工場コード|組織体制図・設備要件|欠格事項に該当しない旨の宣誓書|申請者本人の本人確認書類 |
OSS申請代理人(自販連|日整連|全軽自協) | 定款の写し|組織体制図・設備要件|欠格事項に該当しない旨の宣誓書|申請者本人の本人確認書類 |
OSS申請代理人(行政書士|行政書士法人) | 行政書士証票番号|行政書士証票の写し|日本行政書士会連合会に登録されている法人番号|登記事項証明書の写し又は定款の写し|組織体制図・設備要件|欠格事項に該当しない旨の宣誓書|申請者本人の本人確認書類 |
各対象者によって必要書類が異なります。
記録事務代行ポータルの公式サイトでは、一部の書式がダウンロード出来ますので詳細は以下のリンクでご確認下さい。
リンク|申請の準備 |https://www.kirokujimu-portal.mlit.go.jp/#/preparation
申請方法(WEBから行う)
リンク|記録事務代行ポータル |https://www.kirokujimu-portal.mlit.go.jp/#/
上記のURLより代行者となるための手続きを行うことが可能です。
必要な手続きは3STEPとなります。
①利用規約を確認・同意
②メールアドレスを登録。申請を行うための案内URLが届く ③URLへアクセスして申請書の作成を行い、送信完了 |
申請自体は、約10分で完了します。
その後に審査が入り、概ね30日で完了となります。
委託要件
①当該事務を行うにあたり「必要かつ適切な能力」があること
②適切な組織体制であること(法令を守って実施できること等) ③必要な設備などがあること(パソコンや個人認証サービスを利用できること等) |
記録等事務代行者となる為には、上記の要件を満たす必要があります。
記録等事務代行アプリについて
ダウンロード方法
記録等事務代行アプリをダウンロードするには、代行者になるための申請を終え、審査をクリアしている必要があります。
アプリのダウンロード先は、「記録事務代行ポータル |https://www.kirokujimu-portal.mlit.go.jp/#/」となりますが、ダウンロードをするには、ログインID/パスワードの入力が求められます。
ここに入力するログインIDとパスワードは、審査通過後に個別に付与される仕組みとなっています。
アプリで出来ること
・車検証情報の更新
・自動車検査証記録事項帳票、検査標章等の印刷・発行 (車検証情報の更新にはICカードリーダライタが必要です。また、印刷にはプリンターが必要です。) |
まとめ|記録等事務委託制度と記録事務代行サービス
車検証電子化に伴う「記録等事務委託制度」と「記録事務代行サービス」。
この制度によって、行政機関に代わり、審査を通過した「整備事業者や行政書士など」が、車検証の書き換えなどを行えるようになりました。
メリットとして、
・運輸支局窓口などへの出頭が不要
・24時間車検証の書き換えが可能
・専用アプリで手続きが出来る
など、車検にかかる日数や手間を減らすことが出来るため、事業者側にとってはコスト削減に繋がるのが最も嬉しいポイントではないでしょうか。
また、この制度を活用した代行者となる為の最初の申請手続きは若干面倒ですが、対応に迫られる前に余裕をもって済ませておくことをオススメします。(申請~審査完了まで約1ヶ月ほどかかるため)
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