車検証電子化にデメリットはある?登録実務者が赤裸々告白!

車検証電子化デメリット
投稿日:2022年12月13日 | 最終更新日:2023年8月7日 | Yuki Kobayashi

2023年1月4日より、車検証がICタグ付きの電子車検証に変更になりました。

電子車検証になると何が変わるのか?デメリットはあるのか?この記事ではそんな疑問にお答えします。

太田(WEB担当)
太田(WEB担当)
2023年1月4日以降、従来のA4サイズの車検証の発行(※電子車検証の発行対象となる手続きにおける)はなくなります。

 

|電子車検証に関する口コミ

ちなみに軽自動車は、1年遅れでスタートし「2024年1月」から電子車検証の発行が始まります。

軽自動車を所有されている方、普通車と軽自動車のどちらも所有されているご家庭・企業のご担当者様はくれぐれもお間違えの無いようにしてください。

 

また、今回の車検証電子化に伴い、登録検査手数料も値上がり(+100~400円)しました。

こちらも併せて把握しておきましょう。

車検証電子化見本

 

電子車検証(ICタグに記録する証明書)の概要

電子車検証とは、車検証の情報を取り付けられたICタグに記録する証明書のことを指します。

電子車検証と言えども「紙」であることに変わりはありませんのでご注意ください。

それでは、電子車検証の特徴から解説していきます。

 

車検証電子化の目的

自動車ユーザーや自動車関係の事業者の皆様のさらなる利便性向上のため、自動車登録手続きのデジタル化に取り組んでいます。
現在、車検証の交付を受けるためには運輸支局等への出頭が必要ですが、車検証を電子化し、整備事業者等の事業所等において車検証の有効期間を更新する仕組みを新たに導入することで、車検時の運輸支局等への出頭を不要とする制度とシステムを導入します。(電子車検証特設サイト|よくある質問より)

国土交通省の狙いとしては、車検時の運輸支局等への出頭を不要とする狙いがあると書かれています。

詳しい解説記事は「参考3分で理解!記録等事務委託制度と記録事務代行サービスの全貌と代行者になるための申請方法」をご覧ください。

 

交付対象

・登録車又は小型二輪

軽二輪及び予備検車は対象外。

 

サイズはA6プラスアルファ

現行の車検証がA4サイズであるのに対し、電子車検証はA6サイズにICタグが付いたサイズです。

A6は文庫本と同じサイズなので、A4を折り曲げたものより少し小さいと言えます。素材は厚紙となっており、耐久性も向上しています。

専用の電子車検証入れも既に販売が開始されています。

 

ICタグ付き

車検証の情報は搭載されたICタグに記録されます。

従来の車検証では更新や変更の際に陸運支局での車検証の再交付が必要でしたが、電子車検証はICタグ内の情報の書き換えのみで、再交付は必要ありません。

 

表示内容が変わる

電子車検証では、現行のものと比べ、記載される情報が少なくなります。

これは変更登録などで影響を受けない情報のみに絞られていることが要因です。電子車検証に印字される情報は以下の通りとなります。

・自動車登録番号・車両番号
・車台番号
・交付年月日
・車名・型式
・自動車の種別
・長さ/幅/高さ
・車体の形状
・車両識別符号(車両ID)など

注意点としては、現行の車検証では印字されていた「車検の有効期限」や「所有者情報、使用者の住所が記載されない点」です。

記載されない情報はPCやスマートフォンでICタグを読み取り情報を取り出す必要があります。

 

電子車検証のデメリット

一見良いことばかりのように見える電子車検証ですが、デメリットが多く指摘されているのも事実。

この項目では、電子車検証のデメリットをご紹介します。

 

車検満了日や使用者の住所が印字されない

先ほども触れましたが、電子車検証では車検の有効期限や使用者の住所が印字されません

これらの情報はスマートフォンやPCを利用して確認する必要があります。

勤務先へ車検証情報を提出する場合や、自動車保険の契約(更新)の際は、専用アプリを用意する必要があり、お世辞にも利便性が向上したとは言えません。

特例措置として、電子化になってから最初の3年間は、車検証の内容と同じことが書かれた用紙(自動車検査証記録事項)が一緒に配られますが、3年が過ぎると、その配布もなくなります。

 

サイズが中途半端

検討初期にはクレジットカードと同等のサイズも検討されたようですが、大きくもなく小さくもない「A6+α」という特殊なサイズになってしまいました。

グローブボックスに収納するのであれば問題はないのですが、特殊なサイズのため一般的なカードケースなどは利用できません。

 

アプリの使い勝手が悪い

2022年12月現在、スマートフォンの機種変更の際や、アプリを削除した場合にデータの復元は不可とされています。

機種変更の際はアプリの再インストールとICタグの再読み込みが必要となるので注意が必要です。

 

バイクでの取り扱いには注意が必要

小型二輪も2023年1月から電子車検証が発行されますが、国土交通省によると「ダッシュボードの上等、過度な高温になる場所に長時間放置することは避けてください。」「破損の原因になりますのでICタグの部分は折り曲げないでください。」との注意喚起があります。

バイクは収納スペースに限りがあるため、収納する場所に苦慮することになるでしょう。

 

※対応に向けて経費(機器代)がかかる【車検証の書き換え業務】

この後の項目でも触れますが、電子車検証の書き換え(記録等事務代行者が行える)には「NFC機能付きスマートフォンもしくは非接触型ICカードリーダー」を準備する必要があります。

弊所としては、業務利用を目的としているので、マクセル社のスタンド付きの機種(M-1850S-NS)をPCと繋いで使用しています。

購入価格は、あくまで参考程度とお考え下さい。

 

電子車検証のメリット

運用が開始されたばかりということもあり、何かとマイナス面ばかりがクローズアップされていますが、車検証が電子化することによるメリットも存在します。

ここでは電子車検証のメリットをご紹介します。

 

自動車税の納付状況が分かる

車を保有する以上、毎年必ず納めなければならない税金と言えば、自動車税。

この自動車税の納付状況が電子車検証から読み取ることが可能となるため、納付忘れを防ぐための一手として活用することが出来るようになります。

 

駐車違反状況が分かる

次回の免許更新の際に参考になる情報として知ることが出来ます。

普段はあまり使わないと思いますが、いつ違反したか?を覚えている人は少ないと思うので、いざ知りたいときに知ることが出来るのは役に立つ人もいるのではないではないでしょうか。

 

車検満了日近くになるとアプリでお知らせしてくれる(PUSH通知)

これについては、前回車検をした車屋さんか車を購入した販売店から期日前にお知らせが何度も来ることがあるので嫌でも思い出すことが出来るかと思います。

とは言っても、郵送物を普段からチェックしていない人もいると思うので、アプリを入れておくだけで勝手にお知らせしてくれるのは助かる人もいるでしょう。

※有効期間満了日の60日前,30日前,経過1日後に通知される予定

関連記事 画像で解説|車検証閲覧アプリのダウンロード~インストール方法

電子車検証専用の読み取り/書き換え機器について

電子車検証の書き換えを行う場合、「NFC機能付きスマートフォンもしくは非接触型ICカードリーダー」が必要になります。

読み取りについては、アプリを使うことで個人でも出来ますが、車検証情報の書き換え(名義変更や更新)は「運輸支局長等から委託を受けた行政書士などの記録等事務代行者」のみ可能となります。

関連記事3分で理解!記録等事務委託制度と記録事務代行サービスの全貌と代行者になるための申請方法

 

この書き換えにおいては、

・ICカードリーダライター

・検査標章印刷動作確認済みプリンター

が必要になります。

個人での書き換えは行えませんので、引越しで住所が変わる場合や結婚して名義が変わるといった場合の車検証の記載事項の変更手続きは、お近くの行政書士に相談してみましょう。

 

車検証を完全電子化(ペーパーレス)には出来なかった?

電子車検証は電子化と言いながらも、基本的には紙の車検証を踏襲しています。

検討の初期段階では車検証をカード化し、ICチップのみでの情報読み取りするという構想もあったようです。

しかしながら、基本的な情報はオフラインでも確認できるよう、完全に電子化せず一部の情報は紙に記載するようになっています。

このように中途半端にも見える状況でリリースされたことで、デメリットが目立つ仕様になったとも言えるのではないでしょうか。

 

最後に

本記事では、対応が迫られる「車検証の電子化」について解説致しました。

自動車登録業務のDX化は、OSS申請の更なる普及を推し進める国交省の目玉プロジェクトです。

現場サイドである我々もそれに伴い、常に対応し続けてなくてはいけません。

 

私たち「行政書士法人 井口事務所」では電子車検証への対応をはもちろん、自社開発をしている業務支援ソフトウェアを用いることで業務効率化を図り、OSS・書類申請のいずれにおいても迅速かつ丁寧な仕事を心がけております。

また、そのメリット生かすことでお客様から頂く代行手数料も新潟県内最低水準の価格を創業以来、維持し続けています。

 

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