自動車内装部品メーカー・在庫管理が語る社内外との調整業務の難しさ

投稿日:2023年2月21日 | 最終更新日:2023年8月7日 | Yuki Kobayashi

こんにちは、井口事務所カーライフ+編集長の太田です。

今回、インタビュー企画としてお話をお聞きしたのは、東海地方在住で自動車・内装部品メーカーの在庫管理の仕事に就く「ゆりか」さん。

 

※ご提供いただいた写真(仕事後のカフェでの資格取得のための勉強、旅先で食べたお刺身、4時間待ちで食べたさわやかのハンバーグ)

 

過去に自動車メーカーの開発エンジニアの方にお話を聞いたことがありますが、車の製造に関わる方はこれで二人目となりました。

車の製造と一言で言っても、部品数は約3万個にも及ぶというので、一体どれだけの人間がそれに関わっているのか・・・と考えるだけでも改めて自動車産業の大きさを実感します。

また、調べてみると、その半数近くがエンジンを構成するために使われているとのことでした。

 

そんな車の部品に関するお話を…ということで、今回記事制作のご協力を頂いたのが、今年から専業デザイナーとして独立予定のゆりかさんです。

私の前職の時から付き合いがあり、過去に何度か文字起こしのライティング案件やバナー画像の制作等で度々お世話になりました。

今回はそのツテを頼り、貴重なお話をお聞きすることが出来ました。

 

仕事で車に携わる方はもちろん、車に興味のある方にとって為になる内容となっておりますので、是非とも最後までご覧ください。

 

自己紹介/現在の仕事やこれまでの経歴

大学卒業後、新卒で現在の会社に就職しました。

入社後約4年間は総務部にて新卒採用担当をメインに、社会保険労務・給与計算等の業務に携わっていました。

その後、工務部に異動し、まずは新製品の立ち上げの日程管理を行う部署に1年半所属。現在は、同工務部内異動にて量産製品の「部品在庫管理業務」に従事し丸2年が経過しました。

 

自動車部品メーカーに就職した理由

実家に比較的近く、実家から通えない距離であることが第一条件としていました。

また、自動車(乗用車の外観をみること)が好きということも理由の一つでした。

 

自動車内装部品メーカーの在庫管理の仕事内容

会社の業務内容

私が勤める会社では、樹脂系の内装部品を製造しています。

自社で製造した部品や、取引先から買ってきた部品を組み立てて様々なお客さんに納品するといったことが主な業務となります。

 

自動車部品・在庫管理の仕事

・在庫がちょうどいい数になるように発注数の事前調整をする

・在庫が多すぎる、少なすぎるに対応する

会社業務の中で在庫管理の部署が担うのが、ざっくりとこの2点となります。

基本的には事前調整を行い、トラブルが起きないようにしますが、机上の空論でもあるので実際にモノが無い、多すぎるといったトラブルに都度対処しているイメージです。

 

最初は、トラブルが起きるたびにどうしたら良いかが分からず、悩む日々が続きました。

しかし、徐々に慣れてくるとパターンが分かってくるので、都度頭を回転させてなるべくすぐに対処出来るようになっていきました。

 

中でも最も難しいのは、人との関わりのように思います。

 

部品を作る部署からは、「急に作れと言われても困る」と言われ、 その部品を使う部署からは、「部品が来ないことにはお客さんの納期を守れないから困る」 となり、それぞれの言い分がある中で私たちが間に入って落としどころを見つけます。

 

また、社内だけではなく、仕入先や生産現場の担当者の人柄、会社の風土によって癖があるため、都度合わせてなるべく穏便にお客さんの納期を守っていく段取りをすることが、センスの見せどころといった感じです。

 

顧客について

直接車両につけた方がいい部品は完成車メーカー(T社が多い)に直接運びますが、シートメーカーなど、更なる部品メーカーへ運ばれるものもあります。

 

自動車部品メーカー・在庫管理の仕事の大変なところ

ジャストインタイムを守るため、お客さんの納期は何があっても延ばせない

お客さんからの要望がよっぽど無茶なものでない限り、納期を遅らせることは出来ません。

1つでも部品が足りなくなれば「T(某車メーカー)のライン停止」となり、たちまちニュースになってしまいます。

 

在庫の持ちすぎもNG

お客さんを待たせないように豊富に在庫を持てばいいというわけでもありません。

必要以上に在庫を持ち、売れなければ全てが負債となります。そのうえ倉庫を維持するためのコストもかかるので、バランスが重要となります。

 

基本業務がトラブル対応。電話の相手は基本的に怒っている

それぞれの現場の人が責任をもって仕事をしているゆえ、必要な部品が無いためにお客さんを待たせたくないと、トラブルが起きると焦ってしまいます。

短気な方は、いつも電話越しに怒っているため正直「私に言われても・・・」ということは多々あります。

 

自動車部品メーカーの在庫管理の仕事の良いところ

苦労した生産にありついた車が街を走るところを見れる

車好きの私にとって、自分たちが苦労して生産した車が街で活躍しているのを見ると感慨深いものがあります。 「自分がかかわった車だ!」と友人に言ったところで、だいたい「ふーん」と言われるだけですが・・

 

昔の部品がおもしろい

私の会社で作っている部品は、特に実際の車体から見える箇所に使われているため、昭和の時代に使われていた古い部品が在庫として会社にあると、感慨深いものがあります。 最新の車も、古き良き車も、たくさんの人が汗水たらして作り上げたものです・・!

 

Q&A|自動車部品メーカー・在庫管理職で活躍されているゆりかさんへ質問

Q. 在庫が合わない時はどのように対処するのですか?

なぜ数字が合わないのか、調べられる限り調べた上で、お客様の納期に間に合うように部品メーカーから納品してもらえるように依頼します。

 


 

Q. 仕事の評価軸などはどのようなことでしょうか?

大きなトラブルから小さなトラブルまで日々いろいろ勃発するトラブルに対していかに自力で淡々と対処できるかです。(自分では解決できないと思った場合に上司に早く相談することも含め)

 


 

Q. 在庫管理の仕事で求められる能力は何ですか?(伸ばすべき能力など)

多くの人とそつなく対峙できるか(怒っている人をなだめるなど)だと思います。 また、主にEXCELで計算をしながら在庫調整を行うため、関数と数字を使う力も求められます。

 


 

Q. 自動車部品ならではの難しさなどはありますか?

先ほども触れましたが、ジャストインタイムを守ることです。 何せ天下のT様の下請けなので、例外はほぼありません。

 


 

Q. 顧客との力関係について教えてください(絶対服従な関係か融通を利かせてくれるか)

基本的には絶対服従というスタンスのように感じます。

しかし、メーカーによっては無茶苦茶な要求をしてくることもありますので、その際は間に入っている部品メーカーさんが調整をはかってくれることもあります。

 


 

Q. 自動車メーカー側からの無茶な要求の具体的なエピソードがあれば教えてください

例えば、1日あたり3,000個出荷している部品を、1日あたり10,000個欲しいと突然言われ、流石に無理ですという話になって調整してもらいました。

そのメーカーさんは、そういう注文が多いため、間接メーカーの方も基本的には交渉をしてくれます。

おそらくお客さん側も、「絶対欲しい」注文と「できれば欲しい」注文があるのだと思います。

対応できる内容であれば対応しますが、無茶苦茶かつ対応できない内容であれば調整してもらいます。

流石に3日分以上を1日で欲しいと言われたものが、もし対応できたのだとしても、お客さんはその大量の部品をどうするつもりだったのだろう・・・といまだに不審に思っています笑

※お客さんも人間ですので、無茶苦茶な数字の場合、計算ミスということも多々あります。

 


 

Q. 在庫管理の仕事が日常生活に活きることなどはありますか?

在庫管理の仕組みをゆるく日常生活に取り入れたりしています笑 洗剤の在庫管理とか・・

 


 

Q. 今までにやらかしてしまったミスなどあれば教えてください

在庫調整を甘くみていたために、在庫不足が起こり、客先納期に間に合わせるため一人で長野県(約400km近く)まで車を走らせました。

 


 

Q. 自動車部品メーカーの在庫管理に向いている人はどんな人ですか?

八方美人で、正確に優先順位を決めて淡々と仕事をこなせる人です。

 

最後に|裏話的なエピソード

自動車業界って、男社会なんでしょ・・?というイメージがあると思いますが、私の会社は半分以上が女性です。(リフトなどを使って荷物を運搬する方は皆、男性)

女性ならではのいい面もあれば悪い面もあります。

男性からは女性を大事にしてくれますので、重い荷物があれば気前よく運んでくれますし、女性で得したなーってことはよくあります!笑

ただ、「女性だから何もできません!」では仕事にならないので、ある程度サバサバと仕事をこなしつつ、上手く男性に甘えられる方はうまくこの世界でやっていけるのでは・・とここだけの話です。

ここまで読み進めて頂きましてありがとうございます。

私の経験がどなかたのお役に立てることが出来れば幸いです。

 

太田(WEB担当)
太田(WEB担当)
ゆりかさん、貴重なお話をありがとうございました!

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